• 顎関節症の治療費はいくら?保険診療と自由診療の違いを専門医が解説

    2026年9月18日

    「顎関節症の治療はいくらかかる?」

    「顎関節症は保険で治療できる?」

    「自由診療では何が違う?」

    顎関節症で受診を考えている方にとって、治療内容だけでなく費用も気になるところだと思います。

    顎関節症には、健康保険で受けられる検査・治療があります。

    一方、当院の顎関節症治療は自由診療で行っています。

    ただしこれは、

    「自由診療だから保険診療より優れている」

    という考えからではありません。

    保険診療には保険診療の役割があります。

    当院が自由診療を選択しているのは、顎関節症、特に慢性化した痛みや難治性の症状に対して、保険診療の枠に限定せず、一人ひとりの病態に合わせた診断・治療を組み立てたいと考えているためです。

    今回は、顎関節症の治療費と保険診療・自由診療の違い、そして当院が自由診療で顎関節症治療を行っている理由について解説します。

    顎関節症には保険診療があります

    まず誤解のないようにお伝えしたいのは、顎関節症そのものが「保険のきかない病気」というわけではありません。

    顎関節症では、一定の診察・検査・薬物療法・口腔内装置・指導や訓練などについて、健康保険が適用される場合があります。

    したがって、

    顎関節症を治療するためには必ず自由診療が必要

    というわけではありません。

    症状や治療目的によっては、保険診療で対応できる患者さんもいます。

    では、なぜ当院は自由診療なのか?

    当院が自由診療を選択している理由は、単純に「特別な治療をしたいから」ではありません。

    顎関節症は、

    顎関節だけを診ればよい病気ではない

    と考えているからです。

    顎の痛みには、

    顎関節
    咀嚼筋
    顎運動
    咬合
    ブラキシズム
    睡眠
    ストレス
    痛みの感じ方
    慢性疼痛のメカニズム

    など、複数の要因が関係することがあります。

    特に症状が長期化している患者さんでは、

    「関節に異常があるから痛い」

    という単純な説明だけでは十分でない場合があります。

    そのため当院では、診断した病態に応じて複数の治療法を組み合わせられる診療体制をとっています。

    「顎関節を治療する」だけではなく「痛みと機能を診る」

    当院では、顎関節症を単に「顎関節の病気」として診るのではなく、口腔顔面痛と口腔顔面機能の両面から評価することを重視しています。

    例えば、

    なぜ痛みが続いているのか

    なぜ口が開かないのか

    なぜ食事をすると疲れるのか

    なぜ治療しても症状を繰り返すのか

    を考えます。

    そして、

    顎関節
    咀嚼筋
    顎運動
    咬合
    顎顔面形態
    咀嚼などの機能
    心理社会的要因
    慢性疼痛

    などを必要に応じて評価します。

    治療方法から患者さんを見るのではなく、

    患者さんの病態を診断してから、必要な治療方法を選択する。

    これが当院の基本的な治療スタンスです。

    口腔顔面痛という専門的な視点

    顎や顔の痛みは、すべてが顎関節そのものから生じているわけではありません。

    咀嚼筋由来の痛み、神経障害性疼痛、頭痛との関連、慢性疼痛など、さまざまな病態を考える必要があります。

    そのため当院では、院長が受けてきた口腔顔面痛に関する専門的なトレーニングを診断・治療に生かしています。

    「顎が痛いから顎関節を治療する」

    のではなく、

    「その痛みはどこから来ているのか」

    を考えることを重視しています。

    咬合学を研究しているからこそ「何でも噛み合わせのせい」にしない

    当院では咬合も詳しく評価します。

    しかし、

    顎関節症=噛み合わせが悪い

    とは考えていません。

    院長は咬合学について研究してきました。

    だからこそ、

    「何でも噛み合わせのせいにしない」

    ことを大切にしています。

    歯の接触だけを見るのではなく、

    顎関節・咀嚼筋・顎運動・咬合・顎顔面形態

    の関係を評価し、その患者さんに咬合がどの程度関係しているのかを考えます。

    Lumix2によるソフトレーザー治療

    当院では、病態に応じてLumix2を用いたソフトレーザー治療(フォトバイオモジュレーション)を取り入れています。

    低出力の光を利用したフォトバイオモジュレーションは、顎関節症の疼痛管理などを目的として研究されている非侵襲的な治療法の一つです。

    ただし、

    レーザーを当てればすべての顎関節症が治る

    というものではありません。

    顎関節症に対するフォトバイオモジュレーションについては、疼痛や開口量の改善を報告する研究がある一方、照射条件や対象となる病態などが研究によって異なり、エビデンスにはばらつきがあります。

    そのため当院でも、

    「新しい機器だから使う」のではなく、診断した病態に対して使用する目的があるか

    を考えて選択します。

    認知行動療法という選択肢

    長期間続く顎関節症の痛みでは、組織だけでなく、痛みの認知、行動、ストレス、睡眠などが症状に影響することがあります。

    そこで、患者さんによっては認知行動療法(CBT)の考え方を治療に取り入れます。

    これは、

    「痛みは気持ちの問題」

    という意味ではありません。

    慢性疼痛では、身体・神経系・心理社会的要因を含めて痛みを理解し、患者さん自身が症状への対処方法を身につけていくことも重要です。

    顎関節症の慢性疼痛に対する認知行動療法や、リラクゼーション・バイオフィードバックなどを組み合わせたアプローチには、疼痛改善を支持する臨床研究があります。

    音楽療法なども治療の選択肢として考えます

    痛みは、顎関節だけで完結する現象ではありません。

    慢性的な痛みでは、自律神経、情動、睡眠、ストレスなども含めた視点が必要になることがあります。

    当院では患者さんの状態に応じて、音楽を活用したリラクゼーションなどの補助的アプローチも取り入れています。

    これも、

    「音楽を聴けば顎関節症が治る」

    という考えではありません。

    あくまで、痛みや緊張、自律神経系などを含めて患者さんを多面的に支えるための選択肢の一つとして位置づけています。

    迷走神経へのアプローチについて

    慢性疼痛と自律神経系の関係についても研究が進んでいます。

    当院では患者さんの状態に応じて、迷走神経を介した神経調節を意識したアプローチについても治療の選択肢として検討します。

    ただし、顎関節症に対する迷走神経刺激については、標準治療として十分に確立しているとはいえない領域です。

    そのため、

    確立した治療と、新しい可能性を持つ補助的治療を同じものとして扱わない

    ことも重要だと考えています。

    エビデンスの確立度を踏まえながら、患者さんに説明したうえで適応を判断します。

    一つの治療法に患者さんを当てはめない

    当院の自由診療で最も大切にしているのは、特定の機械や治療方法ではありません。

    例えば、

    「顎関節症だからレーザー」

    「顎関節症だからスプリント」

    「ストレスがあるから認知行動療法」

    というように、患者さんを一つの治療方法に当てはめることはしません。

    ある患者さんには運動療法が重要かもしれません。

    ある患者さんにはスプリントが必要かもしれません。

    ある患者さんには疼痛へのアプローチが必要かもしれません。

    また、複数の方法を組み合わせたほうがよい場合もあります。

    だからこそ、

    診断 → 治療方法の選択 → 再評価

    を繰り返します。

    短期間での症状改善を目指します

    顎関節症の患者さんの中には、

    「何か月も通っているけれど変わらない」

    「マウスピースを作っただけで、その後は経過観察になっている」

    「いろいろな医療機関を受診したけれど痛みが残っている」

    という方もいます。

    当院では、診断に基づいて治療を組み合わせ、できるだけ早い段階で症状や機能の変化を得ることを目標にしています。

    ただし、顎関節症の病態や慢性化の程度には個人差があります。

    そのため、

    「必ず短期間で治る」

    という意味ではありません。

    治療開始後には、

    痛み
    開口量
    顎運動
    咀嚼機能
    日常生活への影響

    などを再評価し、十分な変化が得られていなければ治療方針を見直します。

    漫然と同じ治療を続けないことも、当院が大切にしていることの一つです。

    難治性の顎関節症にも対応します

    顎関節症の中には、一般的なセルフケアや治療で改善するものも多くあります。

    一方で、

    ・痛みが長期間続いている
    ・複数の医療機関で治療しても改善しない
    ・スプリントを使用しても痛みが残る
    ・痛みを繰り返している
    ・咀嚼などの機能障害が続いている

    といった患者さんもいます。

    このようなケースでは、

    「顎関節の問題が残っているのか」

    だけではなく、

    筋・筋膜性疼痛なのか
    慢性疼痛として考える必要があるのか
    顎運動に問題があるのか
    咬合が関係しているのか
    心理社会的要因が関係しているのか
    睡眠や自律神経系まで考える必要があるのか

    など、診断をもう一度広い視点から見直すことがあります。

    「自費だから良い」ではなく「必要な診療を組み立てるため」

    当院が自由診療を行っている理由を一言で表すと、

    自由診療そのものに価値があるからではありません。

    保険診療には、国民が一定の医療を受けられるという非常に重要な役割があります。

    一方、当院では顎関節症・口腔顔面痛の診療において、

    専門的な診断
    顎運動・咬合・口腔顔面機能の評価
    ソフトレーザー
    認知行動療法
    音楽を用いたアプローチ
    神経調節を意識したアプローチ

    などを、患者さんの病態に応じて組み合わせたいと考えています。

    そのため、保険診療の枠に治療を合わせるのではなく、

    患者さんの病態に合わせて治療を組み立てるために、自由診療という診療形態を選択しています。

    当院の顎関節症治療で大切にしていること

    東京・目黒区のノザワ歯科では、日本顎関節学会専門医・口腔外科医が顎関節症を診療しています。

    院長は顎関節症・顎変形症を専門領域とし、咬合学、顎運動、口腔顔面機能について研究してきました。

    現在も東京都立大塚病院および亀田病院で、顎変形症・顎関節症の専門外来を担当しています。

    当院が目指しているのは、

    「自由診療だから特別な治療をすること」ではありません。

    目の前の患者さんについて、

    なぜ痛いのか。
    なぜ口が開かないのか。
    なぜ治療しても繰り返すのか。
    どの機能が障害されているのか。

    を考え、

    その答えに応じて治療を組み立てることです。

    治療法ありきではなく、診断ありき。

    そして、

    必要な治療は行う。
    必要のない治療は行わない。

    これが当院の顎関節症治療の基本的なスタンスです。

    まとめ|保険か自由診療かより「何を目的に治療するか」

    顎関節症には保険診療があります。

    そのため、

    顎関節症だから自由診療が必要

    というわけではありません。

    一方、当院では、顎関節症や口腔顔面痛を多面的に評価し、患者さんの病態に合わせて複数の治療方法を選択・組み合わせるため、自由診療で診療を行っています。

    重要なのは、

    自由診療だから良い。
    保険診療だから悪い。

    という比較ではありません。

    患者さんにとって、

    何が問題なのかを正しく診断し、何を目的として、どの治療を行うのか。

    そして治療後に、

    本当に痛みや機能が改善しているのかを再評価すること。

    当院では、そのための診療環境として自由診療を選択しています。

    よくある質問

    Q. ノザワ歯科の顎関節症治療は保険適用ですか?

    当院の顎関節症治療は自由診療で行っています。保険診療の範囲に治療内容を限定せず、病態に応じた診断・治療を組み立てることを目的としています。

    Q. 自由診療のほうが顎関節症は早く治りますか?

    自由診療であること自体が、治療効果や治療期間を保証するものではありません。当院では早期の症状・機能改善を目標としていますが、治療期間や効果には病態や慢性化の程度などによる個人差があります。

    Q. 難治性の顎関節症も診てもらえますか?

    長期間症状が続いている方や、これまでの治療で十分に改善しなかった方についても診察しています。顎関節だけでなく、咀嚼筋、顎運動、咬合、口腔顔面痛、慢性疼痛などの視点から再評価します。

    Q. 全員にレーザー治療を行いますか?

    いいえ。治療方法は診断と症状に応じて選択します。レーザーを含め、特定の治療を全員に行うわけではありません。

    Q. 認知行動療法は「痛みが精神的」という意味ですか?

    いいえ。慢性疼痛は身体・神経系・心理社会的要因などが相互に関係します。認知行動療法は「気のせい」と考える治療ではなく、痛みへの対処や行動を含めて改善を目指すアプローチです。

    参考文献・参考資料

    ・Management of chronic pain secondary to temporomandibular disorders: a systematic review and network meta-analysis of randomised trials. BMJ. 2023.

    ・Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline. BMJ. 2023.

    ・Psychological treatments for temporomandibular disorder pain: A systematic review. Journal of Oral Rehabilitation. 2024.

    ・Photobiomodulation therapy. 2025.

    ・Effectiveness of manual therapy, exercise, low-level laser therapy, ultrasound, and transcutaneous electrical nerve stimulation in reducing pain and improving mouth opening in temporomandibular joint disorders: A network meta-analysis of randomized controlled trials. 2026.

    ※治療効果や治療期間には個人差があり、すべての患者さんに同じ治療を行うものではありません。

    ※本記事は一般的な医学・歯科医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの治療効果を保証するものではありません。