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歯や顎、顔の痛みが治らない方へ
2026年6月18日原因不明と言われた痛みを口腔顔面痛専門医が解説【東京・目黒区】
「歯の神経を取ったのに痛い」
「何件も歯科医院を受診したのに治らない」
「顎関節症と言われたが改善しない」
「レントゲンやCTで異常がないと言われた」
このような歯や顎、顔の痛みに悩まれている方は少なくありません。
痛みが続くと、
「まだ見つかっていない悪い歯があるのではないか」
「もっと噛み合わせを調整すれば治るのではないか」
「抜歯すれば楽になるのではないか」
と考えてしまうことがあります。
しかし、慢性化した口腔顔面痛では、必ずしも歯や顎そのものに原因があるとは限りません。
近年では、歯や顎の異常だけでなく、神経系や脳の痛みの処理システムの変化が関与することが分かってきています。
そのため、治らない痛みを診る際には「どこが悪いか」だけではなく、「なぜ痛みが続いているのか」を正しく見立てることが重要です。
まず確認するべきこと
本当に病変がある痛みなのか
最初に確認するのは、痛みの場所に明らかな異常が存在するかどうかです。
例えば、
- 虫歯
- 歯髄炎
- 根尖性歯周炎
- 歯周病
- 歯の破折
- 感染
- 顎関節の炎症
- 神経損傷
- 外傷
などが見つかれば、その病変が痛みの原因である可能性があります。
この場合は、
- 根管治療
- 歯周治療
- 感染コントロール
- 必要な外科処置
など原因に対する治療が有効です。
検査結果と痛みの強さが一致しない場合
慢性疼痛では、
- 軽度の顎関節症
- 軽い咬耗
- TCH(歯列接触癖)
- 筋肉の緊張
- わずかな画像所見
しか認められないにもかかわらず、強い痛みを訴えることがあります。
もちろん、これらが痛みに関与することはあります。
しかし、それだけで患者さんの苦痛を説明できないことも少なくありません。
このような場合は、痛みを感じる神経系そのものが過敏になっている可能性を考えます。
検査で異常がないのに痛い理由
レントゲンやCT、MRIで異常が見つからない。
それでも痛みが続く。
そのような場合、痛みが「気のせい」という意味ではありません。
慢性疼痛では、脳や脊髄を含む神経系が過敏になることがあります。
これを「中枢性感作(Central Sensitization)」と呼びます。
本来なら痛みとして感じない刺激まで痛みとして認識してしまう状態です。
つまり、
異常が見つからない=痛みが存在しない
ではありません。
患者さんが感じている痛みは現実のものです。
治らない歯や顎の痛みは3つに分類できる
① 器質的疼痛
病変と痛みが一致している状態です。
代表例
- 歯髄炎
- 根尖性歯周炎
- 歯周炎
- 顎関節炎
- 外傷後神経障害性疼痛
このタイプでは原因治療が中心になります。
② 混合型疼痛
歯や顎の問題に加え、神経系の過敏化や心理社会的要因が関与している状態です。
代表例
- 慢性顎関節症
- 慢性筋筋膜痛
- 補綴治療後の慢性痛
- インプラント治療後の痛み
- 咬合だけでは説明できない痛み
このタイプでは、
- 痛みの教育
- TCH改善
- 睡眠改善
- 運動療法
- ストレスマネジメント
- 必要に応じた薬物療法
を組み合わせた治療が必要になります。
③ 痛覚変調性疼痛
歯や顎の異常だけでは説明できない痛みです。
代表例
- 非定型歯痛
- PDAP(持続性歯槽部疼痛障害)
- 舌痛症
- 持続性特発性顔面痛
- 咬合違和感症候群
このタイプでは、
- 歯を削る
- 神経を取る
- 抜歯する
- 被せ物を作り直す
- 噛み合わせを繰り返し調整する
といった治療は慎重に判断する必要があります。
心理的要因を評価する理由
慢性疼痛では、
- 不安
- 抑うつ
- 睡眠障害
- ストレス
- 破局化思考
- 過去の治療への不信感
なども評価します。
これは、
「心の問題だから痛い」
という意味ではありません。
痛みは、
身体
↓
神経
↓
脳
↓
感情
↓
生活環境が相互に影響し合うことで生じます。
だからこそ、歯だけでなく患者さん全体を診ることが重要なのです。
やってはいけない治療
原因が明確でない慢性疼痛では、
- 何度も噛み合わせを削る
- 繰り返し根管治療を行う
- 神経を次々に取る
- 補綴物を何度も作り直す
- 根拠なく抜歯する
といった侵襲的治療が症状を悪化させることがあります。
「痛いから削る」
ではなく、
「なぜ痛みが続いているのか」
を考えることが大切です。
東京・目黒区で口腔顔面痛や顎関節症でお悩みの方へ
歯や顎、顔の痛みが長く続く場合、必ずしも歯だけが原因とは限りません。
当院では、
- 顎関節症
- 口腔顔面痛
- 非定型歯痛
- PDAP
- 舌痛症
- 咬合違和感症候群
- 治療後も続く歯の痛み
に対して、痛みの仕組みを多角的に評価し、患者さん一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。
「異常がないと言われたけれど痛い」
「何年も治らず困っている」
という方は、一人で悩まずご相談ください。
まとめ
治らない痛みは次の順番で考えることが大切です。
- 原因病変の有無を確認する
- 痛みと検査所見が一致するか評価する
- 神経系の過敏化を考慮する
- 心理・社会・睡眠要因を確認する
- 痛みのタイプを分類する
- 適切な治療を選択する
- 不必要な侵襲的治療を避ける
- 長期的な改善を目指す
治らない痛みに必要なのは、
「もっと削ること」ではありません。
「痛みの仕組みを正しく理解し、適切に評価すること」です。
そして患者さんが再び安心して食事や会話を楽しみ、日常生活を取り戻せるよう支援することが、私たちの役割だと考えています。