• 歯ぎしり・食いしばりは病気じゃない?原因と最新の考え方を専門医が解説【2025年国際論文】

    2026年4月12日

    「歯ぎしりや食いしばりが気になる」「朝起きると顎が疲れている」そんな悩みを持つ方はとても多いです。本記事では、歯ぎしりの原因や正しい考え方を、最新の国際論文をもとにわかりやすく解説します。

    歯ぎしり(ブラキシズム)とは何か?

    歯ぎしりや食いしばりは、専門的には ブラキシズム(bruxism) と呼ばれます。

    一般的には「歯ぎしり=ギリギリ音がするもの」と思われがちですが、実際にはもっと広い意味を持っています。

    例えば以下のような状態も含まれます。

    • 歯を強く接触させる
    • 食いしばる(噛みしめる)
    • 歯をこすり合わせる
    • 歯を接触させずに顎に力を入れる
    • 下顎を前後・左右に押し出す

    つまり、音が鳴る歯ぎしりだけでなく、無意識の食いしばりも含めた「顎の筋肉の活動」 がブラキシズムです。

    歯ぎしりには2種類ある(睡眠時・覚醒時)

    ブラキシズムは大きく2つに分けられます。

    睡眠時ブラキシズム

    眠っている間に起こる歯ぎしりです。

    自分では気づきにくく、家族に指摘されて初めて気づくことも多いです。

    覚醒時ブラキシズム

    起きている間に起こる食いしばりです。

    仕事中やスマホ操作中など、無意識に起こることが多いのが特徴です。

    特に最近は、日中の食いしばり(覚醒時ブラキシズム) が問題になるケースが増えています。

    【最新研究】歯ぎしりは病気ではなく“行動”と考えられている

    2025年に『Journal of Oral Rehabilitation』に掲載された国際コンセンサス論文では、

    ブラキシズムについて重要な整理が行われました。

    それは、

    👉 歯ぎしり・食いしばりは「病気」ではなく「行動(motor behaviour)」として捉える

    という考え方です。

    これまで「歯ぎしり=異常・治療すべきもの」と考えられがちでしたが、

    現在はそう単純には考えられていません。

    歯ぎしりは悪いこと?リスクと影響

    歯ぎしりは一概に「悪い」とは言い切れません。

    最新の考え方では、ブラキシズムは状況によって

    • リスク因子
    • 保護因子
    • 中立

    のいずれにもなり得るとされています。

    リスクとしての歯ぎしり

    • 歯のすり減り(摩耗)
    • 詰め物・被せ物への負担
    • 顎の痛み(顎関節症)
    • 筋肉の疲労

    などに関係する可能性があります。

    一方で…

    一部の研究では、睡眠中の生理的な働きに関与する可能性も示唆されています。

    つまり重要なのは、

    👉 歯ぎしりがあるかどうかではなく、どんな影響が出ているか

    を見ることです。

    歯ぎしりは「診断」ではなく「評価」が重要

    ブラキシズムは病気ではないため、

    「診断する」というより 評価する という考え方が取られています。

    評価するポイントは以下です。

    • 本当に歯ぎしり・食いしばりがあるのか
    • 自覚があるかどうか
    • 歯や顎に負担が出ているか
    • 痛みや疲労があるか
    • 日常生活に影響しているか

    そのうえで、

    👉 問題がある場合のみ、必要に応じて対処する

    という流れになります。

    歯ぎしりの評価方法(自己申告・歯科検査・機器)

    今回の論文では、評価方法の考え方も整理されています。

    ① 自己申告(subject-based)

    本人の自覚や感覚

    →「朝顎がだるい」「食いしばっている気がする」など

    ② 臨床所見(clinically based)

    歯科医の診察

    →歯のすり減り、舌の圧痕など

    ③ 機器検査(device-based)

    筋電図や睡眠検査

    →実際の筋活動を測定

    重要なのは、

    👉 どれか1つで判断するのではなく、総合的に見ること

    です。

    歯ぎしりで悩んでいる人へ|正しい向き合い方

    歯ぎしりや食いしばりがあると聞くと、不安になる方も多いと思います。

    ですが今回の論文が示しているのは、

    👉 「ある=すぐ治療」ではない

    ということです。

    大切なのは、

    • 痛みがあるか
    • 歯にダメージが出ているか
    • 生活に影響しているか

    を冷静に見ることです。

    そして必要であれば、

    • マウスピース(ナイトガード)
    • 日中の力のコントロール
    • 生活習慣の見直し

    などを検討していきます。

    まとめ

    今回の国際コンセンサス報告のポイントはシンプルです。

    👉 歯ぎしり・食いしばりは「病気」ではなく「行動」

    👉 大切なのは「あるかどうか」ではなく「影響があるかどうか」

    音が鳴る歯ぎしりだけでなく、

    日中の無意識の食いしばりも含めて、広い視点で考えることが重要です。

    気になる症状がある場合は、自己判断だけでなく、歯科での評価をおすすめします。

    論文情報

    Verhoeff MC, Dal Fabbro C, Koutris M, Wieckiewicz M, Lobbezoo F, Ahlberg J, Durham J, Glaros AG, Lavigne GJ, Nykänen L, Manfredini D, Bender S, Bracci A, Colonna A, Häggman-Henrikson B, Kato T, Raphael KG, Svensson P.

    Updating the Bruxism Definitions: Report of an International Consensus Meeting.

    Journal of Oral Rehabilitation. 2025;52:1335–1342.

    doi: 10.1111/joor.13985

    ご相談について

    歯ぎしりや食いしばりでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

    状態に合わせた評価と対処法をご提案いたします。