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表情筋を科学する
2026年1月22日表情筋の3つの役割と、ボトックスが「心と機能」に与える影響
キーワード
表情筋/ボトックス/顔面フィードバック/発音障害/嚥下障害/顔面神経麻痺/表情と感情/口輪筋/頬筋
表情筋というと「美容」「見た目」のイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、話す・感じる・食べるという、人が生きるうえで欠かせない働きを支えている重要な筋肉です。
この記事では、
- 表情筋の基本的な役割
- ボトックスが心や体に与える影響
を、できるだけわかりやすく解説します。
表情筋の役割① 話す・発音する(会話の筋肉)
表情筋は「表情を作る筋肉」だけではありません。
言葉をはっきり話すための筋肉でもあります。
- 口輪筋:唇を閉じる・すぼめる
- 頬筋:空気や音の流れを調整
- オトガイ筋:下唇の微調整
これらが正常に働くことで、
「パ・バ・マ」「ウ・オ」などの発音が正確になります。
顔面神経麻痺などで表情筋が動きにくくなると、
- 発音が不明瞭になる
- 唾液が漏れやすくなる
- 会話がしにくくなる
といった問題が起こります。
表情筋の役割② 感情を伝える(心のコミュニケーション)
私たちは、言葉以上に表情で感情を伝えています。
笑顔・怒り・驚きなどの表情は、
文化を超えて共通に理解される「人間のサイン」です。
表情筋がうまく動かないと、
- 感情が伝わりにくい
- 冷たく誤解される
- 人との距離を感じやすくなる
など、対人関係や心理面にも影響が出ることがあります。
表情筋の役割③ 食べる・飲み込む(咀嚼・嚥下の補助)
食事は「噛む力」だけで成り立っているわけではありません。
- 頬筋:食べ物を歯の上に戻す
- 口輪筋:食べ物や水分の漏れを防ぐ
これらが連携することで、安全に食事ができます。
表情筋が弱くなると、
- 口から食べ物がこぼれる
- 頬に食べ物が残る
- 飲み込みにくくなる
といった問題が起こることがあります。
ボトックスで「心」が変わる?(顔面フィードバック)
近年注目されているのが
**「顔の動きが感情に影響する」**という考え方です。
これを
Facial Feedback Hypothesis(顔面フィードバック仮説)
と呼びます。
簡単に言うと、
表情は感情の結果だけでなく、
表情筋の動きが感情そのものを調整している
という考え方です。
ボトックスが感情に与える影響
● 感情が穏やかになることがある
眉間などへのボトックス後、
感情の起伏が少し穏やかになるという報告があります。
● うつ症状が改善するケースも
眉間の緊張が減ることで、
ネガティブな感情の悪循環が和らぐ可能性が示されています。
コミュニケーションへの影響
一方で注意点もあります。
- 相手の表情を読み取りにくくなる
- 共感が伝わりにくくなる
- 「冷たい印象」を持たれることがある
これは、自分の表情を無意識に真似する働きが弱まるためと考えられています。
下顔面ボトックスの注意点(機能面)
口元や顎まわりへのボトックスは、
話す・食べる機能に直接影響することがあります。
- 発音しにくい
- ストローが使えない
- 食べ物や唾液が漏れる
美容目的でも、慎重な判断が必要な部位です。
まとめ(医療として大切な視点)
- 表情筋は「話す・感じる・食べる」を支える重要な筋肉
- 表情筋の動きは、心の状態にも影響する
- ボトックスにはメリットと注意点の両方がある
- 特に口元への施術は機能面の理解が不可欠
表情筋は、美容だけでなく
医科・歯科・リハビリ・心のケアに関わる大切な領域です。