• 口腔機能解剖学からみる “切らない・入れない・注射しない美容” の話

    2025年11月27日

    ― 顔の“機能”が整えば、自然な美しさは戻ってくる ―

    「最近、顔が疲れて見える」

    「フェイスラインがぼやけてきた」

    「昔より表情が硬くなった気がする」

    そんな“変化のサイン”は、実は 口腔機能の乱れ が背景にあるかもしれません。

    じつは、

    人の顔は“機能”が変われば“形・印象”が変わる。

    これは、口腔・顎・顔面外科の臨床で30年以上向き合ってきた中で、確信している事実です。

    この記事では、

    口腔機能解剖学にもとづいた 「切らない・入れない・注射しない美容」 を、

    美容初心者でも分かるように徹底解説します。

    【目次】

    1. 口腔機能解剖学とは何か?
    2. なぜ“切らない美容”と関係するのか
    3. 咀嚼(噛む)が顔つきを変える
    4. 会話(舌・唇)が顔の軽さをつくる
    5. 嚥下は“内側からのリフトアップ”
    6. 表情筋は「神経と筋肉のアート」
    7. 切らない・入れない美容の本質
    8. よくある質問
    9. まとめ

    1|口腔機能解剖学とは?

    「口を動かすための解剖の勉強?」と思われがちですが、それだけではありません。

    口腔機能解剖学は、

    口・顎・舌・喉・顔の筋肉と神経が “どう連動して動くか” を理解する学問。

    人の顔は、

    • 噛む
    • 話す
    • 飲み込む
    • 表情をつくる
      という 4つの高度な動作 がすべて“同じネットワーク”でつながっています。

    2|なぜ“切らない美容”に関係するのか

    答えはシンプルです。

    顔は「動く器官」だから。

    皮膚を引っ張ったり、注射でボリュームを補ったりしても、

    筋肉と神経の動きが乱れたままでは根本的には変わりません。

    逆に言うと、

    動きを整えれば、形と印象は自然と整う。

    これが、口腔機能解剖学をベースにした

    “切らない・入れない・注射しない美容” の本質です。

    3|咀嚼(噛む)が顔つきを変える

    噛むときに働く筋肉は、主に4つ。

    • 咬筋(こうきん):噛みしめの主役
    • 側頭筋(そくとうきん):こめかみ
    • 内側翼突筋:噛み合わせの安定
    • 外側翼突筋:顎の動きを誘導する“司令塔”

    噛み方に偏りがあると、

    • 顔の左右差
    • エラの張り
    • 片側だけ発達
    • 表情の左右バランスの崩れ
    • フェイスラインの乱れ

    こうした“美容の悩み”が静かに蓄積します。

    噛みグセ=顔つきのクセ。

    ここを整えない美容は根本解決にはなりません。

    4|会話(舌・唇)が顔の軽さをつくる

    話すときは、

    舌・唇・顎・軟口蓋・頬がフルに連動します。

    たとえば、

    • 舌が硬い → 顔の中央が重く見える
    • 唇の動きが弱い → 口角が上がらない
    • 顎が緊張 → 表情が固く見える

    逆に、

    舌の運動が滑らかで、唇がしっかり動く人は

    顔色が明るく、表情も柔らかく見える。

    会話は意外にも 美容と密接につながる“筋の運動” なのです。

    5|嚥下は“内側からのリフトアップ”

    嚥下では、

    • 舌骨上筋群
    • 咽頭収縮筋
    • 喉頭挙上筋

    などが連動し、舌骨を中心に大きく動きます。

    嚥下力が弱くなると、

    • 首の前の筋力低下
    • あご下のもたつき
    • フェイスラインのぼやけ
    • 顔の下部のたるみ

    が起こりやすくなります。

    嚥下は

    “顔を内側から引き上げる筋トレ”

    なのです。

    6|表情筋は「神経と筋肉のアート」

    表情をつくるのは 顔面神経(VII) と表情筋の連動です。

    • 大頬骨筋 → 笑顔
    • 口角下制筋 → 悲しい表情
    • 頤筋 → 顎先の緊張
    • 口輪筋 → 唇の締まり・上品さ

    これらのバランスが乱れると

    「こわばった表情」「疲れ顔」になりやすい。

    逆に、動きが整えば

    その人らしい自然な笑顔 が戻ります。

    7|切らない・入れない・注射しない美容の本質

    このアプローチは、

    • 顔の筋肉
    • 神経の働き
    • 咀嚼・嚥下・会話
    • 表情のクセ
    • 筋膜の滑走性

    を整えることで、

    “内側から美しさをつくる美容” です。

    見た目だけを変えるのでなく、

    本来の機能を整えることで、自然な美しさが生まれる。

    だからこそ、

    • 不自然な変化が苦手
    • 自然な若返りがしたい
    • 健康と美容を両立したい

    そんな方に最適です。

    8|よくある質問(FAQ)

    Q. 本当に切らなくても変わりますか?

    A. 根本的には「機能」が形をつくります。動きが整えば印象は変わります。

    Q. どれくらいで変化しますか?

    A. 個人差はありますが、まず数回で表情やフェイスラインの軽さを感じる方が多いです。

    Q. 戻りませんか?

    A. 機能が改善されると戻りにくくなり、自然な美しさが持続します。

    9|まとめ

    口腔機能解剖学は、

    咀嚼・会話・嚥下・表情という “人間らしさのすべて” の基盤です。

    これらを整えることで、

    切らない・入れない・注射しない美容が成立し、

    自然な美しさが内側から引き出されます。

    “機能”が変われば、“顔つき”が変わる。

    これが、医療にもとづく本質的な美容です。

    東京都目黒区 顎関節専門 歯科

    顎関節専門医 野澤健司記